秘密のメモを見てしまった
私はどうしていつも怒っているのだろうか。
何に怒っているのだろうか。
なんで怒ることしかできないのだろうか。
すぐに怒ってしまうのはなんなんだろうか。
私は私が嫌いだ。
子どもたちを今日も怒ってしまった。
夫にも怒ってしまった。
いつも買い物に連れて行ってくれて、家探しをする時も嫌な顔せずに運転してくれるのに。
私はみんなに甘えすぎて自分では何もできない。
無能なんだ。私は。だから怒ることしかできないんだ。
怒りをぶつけてしまっている家族に申し訳ない。
今日も家族が何事も過ごせました。
ありがとうございます。
1日の終わりに神様にお礼を言う。
家族が大きな病気になることもなければ、事故に遭うこともなかった。
それが私の幸せなのは間違いない。
なのにどうして満足していないのか。
何を欲張っているのか。
私は私が嫌いだ。
今は家族のために生きているだけ。
優しい家族とわがままな自分。
どうして自分はこうなのだろか。
私は人から嫌われるのが得意でずっとそれを経験してきたから
今はもう、人に好かれたいと努力することは無くなった。
私は天性の嫌われ者。
そんな私に何ができるのだろうか。
理解してもらえるはずなんてないのに、なんで期待してしまうのか。
私は人から必要とされていないことなんて、とっくの昔に分かっていたはずなのに。
見下されているのだろうか。
馬鹿にされているのだろうか。
陰口を言われているんだろうな。
変わりたい。
ずっとそう思ってる。
変わらないと、きっと私はもっと悪くなる。
どうにかして泥沼から這い出ないと、心が死んでしまうかも知れない。
そしたら、誰が家族の面倒を見るのだろうか。
私しかいない。
私が変わろう。
人は変えられないけれど、自分は変えられる。
よく聞く言葉だけど、本当にそう。
頑張れ自分。
今までも困難に立ち向かって、それを乗り越えてこれた。
落ち着いて考えて、人を傷つけないようにしよう。
嫌われても「私もあんたのこと嫌いだよん、バイバイ」って感じで軽く受け止めればいい。
大丈夫。人はそんなに私に興味がないから。
深呼吸しよう。とりあえず10回。
よし、
もう大丈夫。また笑えるよね?うん。笑える。
書いたから、ゴミ箱に捨てよう。
さよなら、大嫌いな自分。
もう二度と会いたくないな。
ゴミ箱から拾ったグシャグシャの紙。
ペンで殴り書きされていたのが隙間から見えて、気になって拾ってしまった。
妻が書いたものだった。
以前にも同じことがあった。
妻はきっと思考を理解や整理するために文字にして書くのだ。
勝手に読んでごめんなさい。
そっと元あった場所に戻す。
妻は僕に内緒にしているから、
今のことは話題にしないし、触れない。
僕にできることはなんだろうと考えた。
妻は思っていることをなんでも言う人だけど、奥底の本心を見せることは稀にしかない。
僕にできることはなんだろう。
妻には笑っていてほしい。無理なくでいいから。
笑わせる方法が一つだけ浮かんだ!
妻のイヤリングを耳につけると、妻は嬉しそうに大笑いする。
(保護者の中にたまにいる、刈り上げボーイッシュおしゃれママを連想するらしい)
それをやってみよう。
結果がどうだったかは、また後日書くと思います。
妻の笑顔が見たいから
7月23日(火)
最近、ずっと夢だったマイホームを真剣に考えるようになり、
土地や戸建て、マンションをよく内覧しているのだが、沖縄はどこもかしこも値段が高騰しすぎて、ぐうの音もでない。というか出せない。
最初はワクワクしながら見てまわったていたのに、
今では、がっくりと肩を落とすように…。
今、家を持っている人たちがすごい人たちに見える。
大金持ちではないか。
妻のこだわりが強いので、おそらく建てるなら注文住宅になるだろう。
沖縄で注文住宅を建てるとすると…だめだ、考えただけでめまいがしてきた。
土地にもよるが、6000万円では建たないだろう。
「もう疲れた…。どこも高すぎる。沖縄で探すのやめたい」
とうとう妻が弱音を吐いた。
あんなに楽しみにしていた沖縄ライフを手放したいと言うのだ。
結婚する前に、どこに拠点を置いて生活するかの話になった時に、
僕は妻が住みたいところに住めばいいと伝えていた。
それは今も変わっていない。
僕は妻と一緒に暮らせればいいのだ。
「鹿児島に理想の家を建てよう」
妻の実家がある鹿児島県。
沖縄に比べて比較的、いや、めちゃくちゃ土地が安く売っているのをネットで見て知っていた。
そこには大きなショッピングモールはないし、妻の好きな本屋は一件くらいしか近くにない。毎週のように通っている無印だって1時間、車を走らせないとない。
今とは快適さがずいぶん変わってしまうけれど、妻はそれでもいいと言った。
「あんたが先に天に召されたら、私は沖縄で独り生活できないと思う」
妻は笑いながら、寂しそうに言ったことがあった。
自分の慣れ親しんだ故郷じゃない場所で生活してみて、
どこか疎外感を感じているのかも知れない。
「かといって、あんたも知らない土地に家を建てて、私が先にいなくなったら寂しいか。そしたらあんたは沖縄に帰るんだろうね」と、妻が言う。
「なんで?帰らないよ。一緒に暮らした思い出がある家にずっといるさ」と、僕が言う。
妻はそれっきり何も言わなくなった。
一人でいろいろ先のことを考えているみたいだった。
僕の目には、妻は自ら複雑に考え、生きにくい生き方を選んでいるように見える。
いつも何かに追われていて、常に先のことを知りたがる。
見えない未来が不安なようだった。
大きな窓から緑が見える家に住みたい。
妻の願いを叶えてあげたい。理想とする家を建ててあげたい。
そして、もっと生きやすくしてあげられたら…。
僕は妻を幸せにすると決めたんだ。妻が笑っていられるように、僕にできることを頑張ろう。
妻は、笑った顔がとびきり可愛いのだ。
嘘つき人間はポジティブ。らしい
「私、ポジティブすぎる人って苦手なんだよね」
唐突に妻が吠えた。
夜、妻が寝室に行くまで僕はテレビゲームをするのが日課になっている。
珍しく僕の隣にやってきた妻はテレビ画面を見ながら、そう言った。
僕は黙って続きを聞く。
「ネガティブな感情も人間なんだからさ、必要だと思うの。自分と向き合うってそういうことだと私は思う。ポジティブな面も、ネガティブな面もあって当たり前なんだよ。他人と良い人間関係を築きたい時は別だけどね。だから私は、心を開いてない人にはポジティブなフリをするけど、あんたみたいに心を開いてる人の前だと本当の自分でいたいって思う」
急にどうした?
とは言わずに黙って話を聞いていると「で、あんたはどう?」と意見を求められてしまった。
「どうって…?」
「だから、あんたはどう思ってるの?」
まさか僕に質問が来るとは思っていなかった。
何か言わないと不機嫌になってしまうかも知れない。
「僕は、あーちゃん以外の人にネガティブなところは見せてないさ」
(妻のことを僕はあーちゃんと呼んでいる)
妻が立ち上がって隣の部屋に行ってしまった。
隣の部屋から妻が僕に言う。
あんぽんたん…つまりバカってことだろうか。
褒め言葉じゃなかったけれど、そう言う妻の声音は、どこか嬉しそうにしていたように思う僕は、妻の言うとおり、あんぽんたんなのだろうか。
夏の夜長のできごと
7月22日(月)晴れ
夜中にクーラーが切れた。
タイマーをセットしていたから当然のことなのだが、
暑さで目を覚ました妻はとても怒っていて、
「タイマーセットせんでよ!暑くていつも目が覚める!」と隣りで寝ていた僕に言い捨てた。
妻が夜中に目を覚ますのは今日が初めてじゃない。
3回目だった。(僕が夜中に切れるようにクーラーのタイマーをセットしているから)
沖縄の夏は、尋常じゃないほど暑い。
だけどずっとクーラーをつけていると風邪も引くし、金銭面でも気になってくる。
だから家族が寝静まった頃合いにタイマーがオフになるように設定しているのだ。
3階に住んでいる僕たちは、藪が近くにあって、ヤモリもいるし、虫も多くて夜は窓を開けられないでいる。
扇風機は一晩中つけているのだが、今日は最悪なことに電源が切れていた。
だから妻の怒りはピークに達してしまったのだ。
暑さは人をイライラさせる。
ピッと、クーラーの電源がつく音が聞こえた。
そのまま水を飲みにいく妻。暑さで子どもも目を覚ましてしまい、機嫌が悪そうにぐずりながら水を欲しがった。
ほらね!と言わんばかりに僕の方を見る妻の指すような視線が痛かった。
水を飲んで落ち着いた子どもはそのまま夢の世界へ。
妻も涼しくなった部屋で落ち着きを取り戻し、夢の世界へ。
シーンと部屋が静まり返る。ああ、嵐が過ぎ去った。
僕も目を閉じる。
明日は怒られませんように。
ポツンとコーヒー店
7月21日(日)
妻が言った。
将来、マイホームを建てたらその一角でコーヒーを夫婦で売ろう。と。
コーヒーに目覚めた僕らは、いろんな種類の豆を買っては挽いて、買って挽いてを繰り返し、自宅でカフェ気分を味わっているカフェイン中毒者だ。(言い方が悪いと妻に怒られるかも)
コンビニで売られているコーヒーが美味しいことに気付き、最近はもっぱらコンビニに入り浸っている。(ローソンのMACHI cafeが好き)
ボトルを持って行ったら10円引きしてくれるのもありがたい。
ふらっと行って、ふらっと買える場所にしたいらしく、イートインスペースは作らないそうだ。(本音は人にトイレを貸したくないのだと思う。たぶん)
朝、コーヒー豆挽き、クッキーやケーキを焼く。想像しただけでいい香りが鼻腔に広がる夢のような光景。
人は夢を二度見る。と乃木坂46の歌で知った。(妻がファンなのだ)
そうか、一度諦めてしまった夢は、やっぱり自分の夢なわけで、それをやっぱりまた夢見るのが人間なんだろう。
今回、妻の思いつきでポッとでた将来の夢。
叶うわけないと思えばそれっきりだ。
きっとまた何年後には、同じことを言うのだろう。
将来、マイホームを建てたらその一角でコーヒーを夫婦で売ろう。と。
動けばいいのだ。考える頭と、動く手足があるうちに。
ポッと出のこの夫婦の夢を、もう少し真剣に考えて見たいと思った。
不機嫌な妻をご機嫌にする方法
7月20日(土)
僕は今日、急きょ仕事が休みになった。
だから家にいるのだが、ずっと妻は不機嫌だ。
よく、旦那が家にいると奥さんが不機嫌になると聞くけれど
そうではない。(と思う)
本来なら今日、妻の知り合いのカメラマンの人にサンセットが美しい海辺で、家族写真を撮ってもらえるはずだったのだが、前日まで「仕事」になっていた僕のせいでキャンセルになったからだった。それが蓋を開けてみれば、「休み」に変更になって…。(僕はよく、仕事の予定が変更になる)
家族写真を撮ってもらえることに喜んでいた家族に申し訳ないと思いつつ、どうしても仕事のことは読めないという現実。
こうなったら、ご機嫌を取るしかない。
妻の好きなベトナムサンドイッチ(バインミー)を求めて車を走らせ、一人で買いに行く。
薬膳ティーも好きだからそれも買おう。ついでに僕のコーヒーも。
案の定、美味しそうに喜んで食べてくれた。作戦成功!
家族の時間は仕事に振り回されて、思うように作れないけれど、仕方がないと僕も妻も分かっている。ジレンンマこそあるものの、生活のためだから今は頑張るしかない。
その代わり、休みの日は家族の時間を大切にしたいと思う。
笑顔が見たい。そのためならなんだってできる。
(朝、寝過ぎて怒られることもしばしば)
ジブリを知らない僕
7月19日(金)
沖縄は金曜ロードショーをやってない。
妻は毎週金曜日になると、そう呟く。
妻が生まれ育った場所は鹿児島県。
鹿児島では金曜ロードショーが毎週放送されるそうだ。(イレギュラーな日もある)
沖縄で育った僕は金曜ロードショーが放送されることの方が驚きだ。
聞けば、ジブリ作品や話題の映画が放送されているんだとか。
正直、羨ましい。
Amazonプライムに加入してはいるけれど、ジブリはお金を払わないと観れないし、その他の映画も観たいのに限ってカギがかかっている。
「だからあんたはジブリを知らないんだ!」とよく妻に言われるのだが、そうかもしれない。沖縄でも金曜ロードショーを放送してくださいと偉い人にお願いしたい。